病院リフォームにおいて床材を選定するために押さえておきたいポイントとは?

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新型コロナウイルスの爆発的な流行を経て、医療現場の環境見直しが進められており、患者様はもちろんのこと、医療従事者にとっても安心快適であることが改めて重視されてきています。

その流れの中で、リフォームを視野に入れている病院も増えてきています。

この記事では、病院リフォームで床材を選定する上で押さえておきたいポイントについて、診療科目別、院内空間別にご紹介します。

床はあまり変わり映えのしない箇所というイメージもありますが、様々な機能を備えた素材があり、病院内の環境改善をする上でどの床材を選ぶかということはとても重要です。

医院全体のリフォームはもちろん、床の部分的なリフォームを検討されている場合にも参考にしてみてください。

病院の床材選定のポイント

まず、病院リフォームで床材を選ぶ際に押さえておくべきポイントをまとめます。

病院ならではの機能性床材

内装メーカーでは、病院内装に適した機能性床材を各社開発しています。

病院ならではの特徴的な機能として、下記のようなものが挙げられます。

  • 防汚
  • 抗菌・抗ウイルス
  • 耐薬品性
  • 防滑性
  • 衝撃吸収
  • 耐水性

これらの機能を備えた様々な床材のラインナップがあるため、リフォーム希望箇所の用途に合わせた床材を選ぶと良いでしょう。

院内各エリアに合った機能を持つ床材

病院と言っても院内でエリアが分かれており、各空間の用途も異なります。

そのため各エリアに合った機能を持った床材を選ぶことも大切なポイントです。

後ほど各エリアに合った機能をご紹介しますので、そちらで詳細をご確認ください。

診療科目に適した床材

受付やトイレなど共用スペースでは大きな違いはありませんが、診療科目によって処置室などは適した床材が少々異なります。

来院される患者様の年齢層に合わせた対策も必要です。

こちらも後ほど各診療科目に分けて詳細をご紹介します。

既存の院内の状況や課題、リフォームの目的等に合わせた床材を選ぶことが大切となります。

病院リフォームでよく使われる床材

実際に病院の床材として使用されるものは、ポリ塩化ビニル素材、天然・合成ゴム素材、ナイロン素材でできたものが多く、大きく4つに分類されます。

ビニール床シート(塩ビシート)

ポリ塩化ビニルを原料とした、シートロール状の床仕上材です。

「尺長塩ビシート」とも呼ばれ、広い面積を一気に張り替えることが可能で、耐薬品性、耐摩擦性、防汚効果、抗菌、衝撃吸収等に優れています。

また、シート同士のジョイント部分は溶接処理するため防水性も高く、診察室や処置室はもちろん、手術室や分娩室にも適した床材として院内で多用されています。

また、表面が硬めの尺長塩ビシートの他に、住宅などで使用されるクッション性の高いクッションフロアもあり、こちらは遮音性や衝撃吸収に強いため、小児科の待合室などで採用されることがあります。

ビニール床タイル(塩ビタイル)

こちらもポリ塩化ビニルを原料としていますが、形がタイル状の床材です。

耐摩耗性、耐久性があり、メンテナンスもしやすく低コストというメリットがあります。

一般的に30〜40cm角の大きさで、タイルを一枚ずつ組み合わせて貼っていきます。

色やデザイン、貼り合わせのパターンなどが豊富で、病院では受付や待合室で使用されることの多い床材です。

ジョイント部分は突き合わせで、ビニール床シートと比べると防水性に劣るため、診察室や処置室等の空間にはあまり向きません。

ラバータイル

天然ゴムや合成ゴムを原料とした仕上用内装タイルです。

厚手で弾力があり、水に濡れても滑りにくいというメリットがあります。

長時間の立ち仕事でも疲れにくく、転倒などによる衝撃も軽減できるため、安心安全の素材として注目されています。

塩ビシートや塩ビタイルと比べるとコストが高くなりますが、耐久性が高く寿命が長いため、トータルコストで見れば大きなデメリットではありません。

溶剤や強アルカリ性、油類に弱いという特徴があるため、メンテナンスには少々注意が必要です。

近年医療機関でも導入事例が増えてきていますが、輸入品が多いため納品まで時間がかかるケースが多いため、極力早めに取扱業者に問い合わせをしておくことをおすすめします。

タイルカーペット

タイル状になったナイロン素材のカーペットで、汚れた部分だけの交換など、手軽に部分的な交換がしやすいというメリットがあります。

耐久性の高いもの、防災、静電機能の高いものなどもあり、人の往来の多い待合室やラウンジ、スタッフステーションや管理エリアで取り入れられます。

診療科目に適した床材選定のポイント

すべての診療科目に共通することもある一方で、診療科目によって独自の対応が必要なものもあります。

ここでは診療科目別に、床材を選ぶ上で押さえておきたいポイントをまとめます。

内科

インフルエンザなど感染症流行の時期には、感染した患者さんが多く集中します。

患者さんが入室する空間は、抗菌、抗ウイルス性能のある床材を採用することをおすすめします。

小児科

内科同様、感染症の診察もする家であるため、抗菌、抗ウイルス性能の床材を使うのが良いでしょう。

更にお子様への安全対策として、衝撃吸収性に優れたものを選びます。

発泡層付きのクッション性の高い塩ビシートを採用している小児科が多い傾向があります。

外科、整形外科

外科や整形外科では、血液、水分、薬品に強い床材が多く使われます。

特に診察室や処置室、手術室は薬品耐性に優れた塩ビシート一択です。

また、整形外科のリハビリルームでは、転倒のリスクに備え、衝撃吸収性に優れた塩ビシートを採用します。

産婦人科

分娩室や内診室は、外科・整形外科同様の床材を使用します。

病室については近年高級志向の患者さんが増加傾向にあり、ホテルの客室をイメージさせるような内装が主流になってきているため、カーペットタイルを採用するケースが多いです。

眼科

流行性結膜炎など感染力の高い感染症も多いため、内科同様に患者さんが入室する空間は抗菌、抗ウイルス性の高い床材を使用します。

また、高齢の患者さんが来院する機会が多いため、安全対策としてクッション性の高い床材を採用するケースが多いです。

耳鼻咽喉科

ウイルス性の感染症の患者さんも多く来院するため、内科同様の床材を採用します。

診察用の患者用座席や機械を移動させられないため、ワックスがけ不要の防汚性の高い床材を採用するとランニングコストを抑えられるでしょう。

皮膚科

皮膚科も感染対策が必要な患者さんが来院するため、内科同様の床材を使用します。

歯科

治療、処置中に飛沫が飛ぶため、水分や薬品に強い床材を選ぶと良いでしょう。

また、診察台の移動はできないため、ワックスがけ不要の高い防汚加工が施された床材が適しています。

心療内科

全体的に患者さんがリラックスしやすい、アットホームな雰囲気の内装を心がけます。

床材としては、木目調のものや落ち着いたカラーのものを選ぶと良いでしょう。

各エリアに適した床材は?

診療科目に関係なく病院内の各空間に共通する特徴があり、その特徴に合わせた床材選びも大切なポイントです。

ここでは各エリアに合った床材をまとめます。

受付、待合室

病院内で最も多く人の往来がある場所です。

耐摩耗性や耐久性に優れた塩ビシートや塩ビタイルが多く採用されます。

最近はスリッパに履き替えるのではなく、土足でそのまま入るスタイルの病院が増えてきています。

外履きに対応した重歩行用の床材を選んで対応すると良いでしょう。

また、長期間ワックスがけ不要の防汚加工が施された床材を選ぶことで、清掃作業の負担軽減も可能です。

トイレ

常に清潔な状態を保ちたい空間ですが、清掃作業の負担は極力減らしたい場所でもあります。

床材は耐水性が高く、防汚効果のある塩ビシートが最適です。

塩ビタイルはジョイント部分が突き合わせで、隙間に汚れが入ってしまうリスクがあるので、あまりおすすめできません。

診察室、処置室

メンテナンスのしやすさに重点を置くことをおすすめします。

各診療科目によって特徴は少々異なりますが、基本的に塩ビシートが最適です。

耐水性や耐薬品性など重視すべきポイントが多少異なるため、それに合わせた塩ビシートの商品を選ぶと良いでしょう。

また、予算に余裕があれば耐久性能の高いラバータイルもおすすめです。

廊下、階段

人が移動する場所であるため、安全性を重視した塩ビ素材やタイルカーペットが採用されることが多いです。

車椅子やストレッチャーを使用する場合は、耐キャスター性があるものを検討しましょう。

まとめ

まとめです。

  • 病院リフォームで床材を選ぶ際には、病院という環境に適した床材を選ぶことが重要
  • 診療科目別、院内空間別に適した床材がある
  • 選ばれる床材No.1は塩ビシート、その中でも各社耐薬品性など機能によって様々な商品がある
  • 価格だけではなく、メンテナンスのしやすさも加味して床材を選定する

病院向けの床材は1㎡あたり3,000〜10,000円台と、素材や機能によってコストに幅があります。

できれば費用を抑えたいという希望もあるかもしれませんが、床材の耐久性、清掃作業の負担、ワックスがけのメンテナンスの頻度など、長い目で見たランニングコストを重視していただくとトータルコストを抑えることができるでしょう。

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